祈雨

画像


title:祈雨
KIU
year:2024年
画材:ガッシュ、ワトソン紙、木製パネル
materials:gouache, Watson paper, wood panel
size:530mm × 333mm(M10)

我が雨を呼びましょう。右手に三鈷剣(さんこけん)、左手に宝珠、龍を纏いし少女は善女龍王なり。八大龍王の一人、娑伽羅龍王(しゃがら)を父に持つ姫君。水は巡り天雲となり、稲妻を呼んで黒雨となる。自然を司りし毅然と立つ少女の姿に、未来の龍王の姿が視える。

八大龍王である娑伽羅龍王の三女、善女龍王を描きました。8歳で仏門を極めたという才女です。弘法大師 空海の逸話「西寺vs東寺の雨乞い対決」から着想を得ています。

824年(弘仁15年)の干ばつの際、帝は西寺の守敏(しゅびん)と東寺の空海に雨乞いの儀式を命じました。
守敏が失敗し、空海が神泉苑にて修法するも雨は降らず、調べると空海を妬む守敏により国中の龍神が瓶に閉じ込められているせいでした。ただ1体、善女龍王だけが守敏の手から逃れていました。
空海は北インドの無熱池(むねっち)という池から善女龍王を呼び寄せ、見事に大雨を降らせました。

善女龍王の姿は大蛇の上に載る小さな金の蛇で描かれたり、男性神として描かれたりと様々ですが、この作品では長谷川等伯の「善女龍王像」がベースとなっています。

父である娑伽羅龍王は別名を大海龍王といい龍宮の王であることから、場面を神泉苑ではなく海にしました。
魔法のような原因不明の力ではなく、自然界の水の循環(水が蒸発し雲になり雨を降らせる)に加えられる龍の力として描くことで、幻想的でありながらも説得力のある世界観を表現しました。そこに凛と立つ子供の姿に、未来の龍王の姿を見るのではないでしょうか。
画像

画像

画像

画像

画像

額装
画像

霊験あらたかな場所
画像

画像

 一覧へ戻る